Hearthstone環境考察

使用率をまとめたり環境予測をしたりします。Hearthstoneに関連するトピックをゲーム理論や統計学の視点から取り上げ…たりもできればいいですね…

11月のデッキ別使用率変遷&メカメカ大作戦予想振り返り

①11/1~11/30にかけての、デッキ別使用率の変遷をまとめたスプレッドシートを公開します。

docs.google.com

 

●備考

・データはHSReplay.netが公開しているものを集計しました。

HSReplay.net - Unleash your potential

・「レジェンド~ランク5」の「過去1日」の人口を、毎日12時頃に集計しました。技術的な問題で集計時間が大きくずれることがあるので、完全に正確なデータを集められたわけではないと思います。参考までに。

・1ページ目が推移のグラフです。横軸が日付、縦軸が割合を示しています。グラフには使用率平均上位30のデッキのみを掲載しています。

・2ページ目が生のデータです。こちらには全てのデッキの使用率を掲載しています。

・データの欠損が2日分あります。

 

 

●雑感

1か月間の使用率の変動に関して、グラフから読み取れることをまとめます。

 

遂に断末魔ハンターが使用率トップから陥落しました

 

以上です。

 

 

②以前公開した「環境予測:博士のメカメカ大作戦」の振り返りを行います。

ta9e2hs.hatenablog.com

ウィッチウッド環境でも同じような振り返りを行ったので、どういった感じかは以下を参照ください。

ta9e2hs.hatenablog.com

今回はナーフパッチ適用後の環境予測を行っていないので、基本的にパッチ適用以前の環境を振り返ることになりますがご容赦ください。

 

言及した結果について見ていきます。

 

1.残るデッキ

現段階で60種類弱のデッキが存在しますが、多くの種類のデッキは使用率を伸ばすことができません。メタがどのように回ったとしてもある程度の使用率を確保できるであろうデッキは、以下になります。

ビッグドルイド、ミルドルイド、ズー、偶数ウォーロック、奇数ローグ、奇数パラディン、コントロールメイジ、奇数ウォリアー、クエストウォリアー、断末魔ハンター

 上のリスト内で環境に存在したのは、ミルドルイド(トグワグルドルイド)、ズー、偶ウォロ、奇数ローグ、コンメ、奇数ウォリ、断末魔ハンター、奇数パラディン辺りだと思います。

逆にリスト内に存在しないが環境に存在したデッキは、トークドルイド、マリゴスドルイド、クエストローグ、テンポメイジ、秘策ハンター、シャダウォックシャーマン辺りだと思います。

 

その中でも、環境の中核を担う可能性が高いデッキは以下になります。

ビッグドルイド、奇数ローグ、ズー、断末魔ハンター、奇数パラディン

Tempo StormでTier1経験のあるデッキはトグワグルドルイド、マリゴスドルイドトークドルイド、ズー、偶数ウォーロック、奇数ローグ、クエストローグ、断末魔ハンター、秘策ハンター、(テンポシャダウォックシャーマン())です。

 

予測として見れば、マリゴスドルイドの台頭を見破れなかった点は明らかなハズレだと思います。クエストローグは環境が落ち着き始めてからデッキの最適化が行われたような印象のため、検出は難しかったと考えます。

ビッグドルイドは全く流行りませんでしたね。ただトグワグルドルイドが使われ得ることを看破できたのは数少ない良かった点だと思います。

奇数パラ、ビッグドルイドを除いた3つのデッキはラダー使用率最上位のデッキ群だったため、この点に関しては悪くない予測だったと思います。

 

こうして見ると非常に精度が悪いですね。

 

2.ダイナミクスに伴うメタの変遷

まず、ズーに対して勝率の高い奇数ローグや偶数ウォーロックが使用率を伸ばします。それに追従してコントロールメイジ、奇数パラディンの使用率も伸びます。

次に、これらのデッキが伸びた状況で強いビッグドルイドとミルドルイドの使用率が伸びます。第一段階で伸びたデッキの中で、奇数ローグは引き続き高い使用率となります。

その次の段階として、奇数ウォリアーや断末魔ハンターの使用率が上がります。この段階まで来ると、ズーの苦手も少なくなってくるためズーの使用率も増えることになります。

 最初期にズーがものすごく使われて、その後偶ウォロと奇数ローグが増えるという予測は完全に的中しています。ただ、奇数パラディンとコンメが思ったより伸びてきませんでした。奇数ウォリ、断末魔ハンター辺りのくだりは意外と当たってましたね。

 

 

振り返りは以上です。新拡張直後の予測を公開したのは初めてですが、やはり初期のカオスから環境を予測することは難しく、予測の信頼性には疑問があるとわかった形になりました。

 

ただ、どう考えても占いとして面白いので次拡張も同様に行います。

10月のデッキ別使用率変遷

10/2~10/31にかけての、デッキ別使用率の変遷をまとめたスプレッドシートを公開します。

docs.google.com

 

●備考

・データはHSReplay.netが公開しているものを集計しました。

HSReplay.net - Unleash your potential

・「レジェンド~ランク5」の「過去1日」の人口を、毎日12時頃に集計しました。技術的な問題で集計時間が大きくずれることがあるので、完全に正確なデータを集められたわけではないと思います。参考までに。

・1ページ目が推移のグラフです。横軸が日付、縦軸が割合を示しています。グラフには使用率平均上位30のデッキのみを掲載しています。

・2ページ目が生のデータです。こちらには全てのデッキの使用率を掲載しています。

・データの欠損が1日分あります。

 

 

●雑感

1か月間の使用率の変動に関して、グラフから読み取れることをまとめます。

※使用率の増減に言及する時にあたかも因果関係があるかのような表記をしている箇所がありますが、実際に因果関係が存在するかどうかはわかりません。

 

 

 ・ナーフの影響

10/19に行われた「マナ・ワーム」と「含み笑う発明家」の弱体化がなされました。その結果がラダーに与えた影響は、今回に関しては限定的だったと言えるでしょう。

 

まず、マナ・ワームのナーフによってテンポメイジが激減しました。

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太い紫がテンポメイジの使用率です。ナーフ前は6%~7%の使用率がありましたが、ナーフ後は1%を切っています。

 

また、含み笑う発明家のナーフによってトークドルイドとクエストローグが減少しました。

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太い青がトークドルイド、太いオレンジがクエストローグです。どちらもナーフ後は使用率が約半分かそれ以下になっています。

 

しかし、これらのデッキが環境から消えることで、使用率が大きく増えたデッキというのは奇数パラディンのみと言えます。他の多くのデッキはナーフ前と似たような使用率を維持しています。

 

これは今回のナーフが「強いデッキのキーパーツを弱体化する(cf.性悪な召喚師、クリスタルコア)」というより、「強いカードを弱体化する(cf.回廊漁り蟲)」という性格のものだったからで、その結果「強いカードを使っていたデッキが減った」のだと考えます。

 

 

・断末魔ハンターが使用率最上位

10月に最も人気があったのは断末魔ハンターでした。10月3日以降、使用率トップを維持し続け、後続を大きく引き離しています。

 

 

・2位以降は混戦

ナーフ前の環境では、ズー、テンポメイジ、偶数ウォーロック、奇数ローグが2位集団として鎬を削っていました。ナーフ後はテンポメイジが消えた代わりに、奇数パラディンが増加、そこにマリゴスドルイド、シャダウォックシャーマンが少しずつ追い付くという形で2位集団の仲間入りを果たしている形です。

 

 

以上です。

アンケートと雑感

先日、Twitterにてアンケートを実施しました。協力くださった方ありがとうございました。

f:id:ta9e2hs:20181009203722p:plain

https://twitter.com/ta9e2hs/status/1048144194097766400

f:id:ta9e2hs:20181009203733p:plain

https://twitter.com/ta9e2hs/status/1048144343880482817



本記事ではアンケートの意図と解説、雑感を記します。


●意図

BO3のデッキ選択において、一戦目に用いるべきデッキは持ち込んだデッキの相性に左右されず、いずれかを半々の確率で選ぶのがお互いにとって最適となります。

このことに関しては過去の記事で説明していますので、それを参照ください。
ta9e2hs.hatenablog.com



この場合においてお互いが最適な行動をとっている状態、すなわち均衡状態は「人によって意見が分かれる」と解釈できます。

つまり、どんな組み合わせのBO3であっても、最初に用いるデッキの選択に関してアンケートを取ったならば、意見が半々に分かれるはずということです。

実際にそうであるかどうか、実際に確かめてみようというのがアンケートの意図です。



●アンケート解説、結果
1つ目のアンケートは、自分が奇数ローグ+ビッグスペルメイジ、相手がテンポメイジ+奇数ウォリアーだった場合に関して質問しました。
これは、相手のデッキに対して有利不利がはっきりしているケースの例として挙げました。
これら4デッキのマッチ毎の勝率は以下のように想定しています*1

↓自分/相手→ テンポメ 奇ウォリ
奇ローグ 0.65 0.2
BSM 0.25 0.65

有効票数は132票、「奇数ローグ」が69票(52%)、「ビッグスペルメイジ」が63票(48%)でした。


2つ目のアンケートは、自分が奇数ローグ+ビッグスペルメイジ、相手がテンポメイジ+クエストローグだった場合に関して質問しました。
これは、相手のデッキどちらに対しても有利なデッキと、どちらに対しても不利なデッキを持ち込んだケースの例として挙げました。
これら4デッキのマッチ毎の勝率は以下のように想定しています。

↓自分/相手→ テンポメ クエロ
奇ローグ 0.65 0.65
BSM 0.25 0.25

有効票数は89票、「奇数ローグ」が66票(74%)、「ビッグスペルメイジ」が23票(26%)でした。



●雑感
まず、2つのアンケート結果が理論と乖離しているかどうかですが、今回の結果は「前者は乖離していない、後者は乖離している」といえます*2
つまり、相手のデッキどちらに対しても有利なデッキがある場合、理論に反して人は有利なデッキを先に使う傾向にあるかもしれないということです。

次に「なぜこのような結果が生じたか*3」に関してですが、
・プレイヤーの合理性が限定的である…モデルの問題
・実際のプレイでは、1戦目の結果がその後の戦績を左右する(流れ等々)…モデルの問題
・サンプルが偏っている(Twitterのアンケートの使用上、回答を頂けるクラスタは偏ったものになりがち)…手法の問題
などが候補として挙げられると思います。



●反省(大反省)
本当は、「均衡状態にない場合どのような結果が起こるか」まで説明しないとあまり意味がないのですが、思いつきで適当にアンケートを作ってしまったせいで、今回の後者のアンケートの場合「実際は均衡から乖離しているが、だからと言って別に何も変わらない」という結果になってしまいました。

ので、後日アンケートをやり直すかもしれません。その際は再度協力頂けると幸いです。

*1:HSReplay.netの直近7日間、レジェンド~ランク5の戦績を集めたものを5%刻みで示したものです。他の勝率も同様の条件で算出しています

*2:帰無仮説を勝率=0.5とした場合、前者のp値は約60%、後者は0.1%未満です

*3:一応、今回の結果に関してのみの考察とします。「なぜこのような結果が生じるか」という理論の問題とは別物と考えていただけると幸いです

8月のデッキ別使用率変遷

8/1~8/31にかけての、デッキ別使用率の変遷をまとめたスプレッドシートを公開します。

 

docs.google.com

 

●備考

・データはHSReplay.netが公開しているものを集計しました。

HSReplay.net - Unleash your potential

・「レジェンド~ランク5」の「過去1日」の人口を、毎日9時頃に集計しました。技術的な問題で集計時間が大きくずれることがあるので、完全に正確なデータを集められたわけではないと思います。参考までに。

・1ページ目が推移のグラフです。横軸が日付、縦軸が割合を示しています。グラフには人口平均上位30のデッキのみを掲載しています。

・2ページ目が生のデータです。こちらには全てのデッキの使用率を掲載しています。

・データの欠損が3日あります。

・8/2のデータが正しくとれていない可能性があります。

・8/9のデータ集計中に博士のメカメカ大作戦環境がスタートしているため、8/9は二つの環境の使用率が混ざっています。

 

 

●雑感

1か月間の使用率の変動に関して、グラフから読み取れることをまとめます。

※使用率の増減に言及する時にあたかも因果関係があるかのような表記をしている箇所がありますが、実際に因果関係が存在するかどうかはわかりません。

 

・新環境でもズーは健在

メカメカ大作戦解禁後もズーの使用率は高いままでした。月の後半にはある程度落ち着きを見せましたが、環境初期は15%近いプレイヤーがズーを用いていました。

 

・奇数ローグ、断末魔ハンターの使用率が増加

新環境でこれらのデッキは高い勝率が見込め、使用率が増えました。月末にはズーを含めたこれら3デッキが使用率トップを競う形になりました。

 

・シャダウォックシャーマンの激減

ウィッチウッド環境で終始高い使用率だったシャダウォックシャーマンですが、新環境では相対的な使用率が大きく下がりました。しかし完全に消滅することはなく、今でも一定数のプレイヤーが使用しています。

 

ドルイドデッキの堅実な伸び

環境前には一部でドルイドストーンも危惧されましたが、マリゴスドルイドトークドルイドの使用率は最上位には位置していません。多くのプレイヤーが使っていることは事実ですが、ドルイド一強状態にはなりませんでした。

 

・メカメカ大作戦#とは

メックを名に冠するデッキが使用率上位に存在しません。新しく追加されたメック関連のカードが強力なパーツとして採用されることはありますが、メックを主軸としたデッキはあまりメジャーといえない状況です。

 

 

以上です。

Tierとかいうよくわからない指標に苦しめられている

Twitter(Ta9e2HS (@ta9e2hs))に書こうとしたら長すぎたのでこちらに掲載した文章であり、特に重要な記述はありません。

 

 

Tierってなんですか。

 

 

HS界において、「デッキの強さ」が一目でわかる指標としてTierなるものが用いられています。各種情報・統計サイトや個人によって発表され、デッキタイプの評価として広く認知されています。


ところが、Tierの定義というものは明確に定まっていません。有名な各種サイトを比較しても、その基準はさまざまです。
例えばvSやHSReplayは、単純にラダーでの勝率のみを基準にTierを決定しています。
一方でTempo Stormなどは、いわば「有識者の意見」を基準にしたTierを公表しています。

当然、これらの異なる基準は異なるTierを示します。これはあまり良くないことです。
あるサイトでは「これが強い」と言い、別のサイトでは「いやこっちが強い」というのでは、結局受け取る側は何を信じればいいのかわかりません。

 

理想は「誰が作っても結果が同じになり、結果を見た誰もが納得するTier基準」を提示することだと思います。しかし、これは相当に困難なことだと思います*1
というわけで、記事の残りではTierに使えそうな基準と、なぜそれを使うとダメかを列挙します。

 

 

○勝率基準
ラダーの勝率を用いるのは一番危険だと思います。


誤解を恐れずあえて言い切りますが、ラダーはじゃんけんです。環境にパーが多ければチョキの勝率は高くなります。ではチョキはTier1でしょうか?違うと思います。
グーにもチョキにもパーにも勝つ手Aがあったとすれば、Aは間違いなくTier1です。しかし、環境がA100%になればAの勝率は50%になります。
ここで例えば、Aには勝つがA以外あらゆる手に負けるBが出てきた場合、Bは明らかにTier1たり得ませんが、A100%環境ではTier1という評価が得られます。

 

Tierが「その時点で勝ちやすいデッキ」を指すのであれば勝率基準で構いませんが、「デッキパワー」を指したいのであれば不適切だと思います。

 


○強い人の勝率基準
勝率基準のTierを批判する常套句として「デッキは強いがプレイングが難しいので慣れていない人が使うと弱い」というのがあります。
そういった状況は当然出てくるかと思いますが、考えてみてほしいのは「勝つために難しいプレイングを要求するデッキは本当に強いのか?」ということです。

 

「〇〇氏が使用した××(誰も使わないデッキ)が勝率p%でレジェンドn位到達!」みたいな情報が流れてくることはままあると思います。レジェンド帯で活躍してデッキが紹介されるのだから、上の基準に照らせば強いに決まっています。ですが他の人がそのデッキで良い成績を挙げることはほとんどありません。

使い方が数人にしか分からないデッキは、本当に強いのでしょうか?何人が理解すれば強いといえるのでしょうか?ほとんどの人が使い方を理解できるデッキは強くないのでしょうか?

 

強い人の勝率を基準にしようとする場合、往々にしてこういった問題が発生して線引がとても困難になります。

 


○大会基準
「強い人が勝つために選んだデッキは強いし、その中で勝てるデッキは当然強い」という理屈はもっともらしく聞こえますが、大会での勝率はサンプルサイズが小さすぎて定量的な扱いが難しいと思います。
また、上で取り上げたBのようなデッキがラダー以上に採用されやすくなると思うので、「デッキパワー」を測る指標としては上手く機能しない気がします。

 


有識者の意見
これは数多の個人が公表しているTierも含めます。当然詳しい人に聞くのは良いことだと思いますが、ご存知の通りその基準は千差万別です。「誰もが納得する基準」を作る上で問題が発生するのは火を見るより明らかだと思います。


「じゃあできる限り沢山の意見を集めてそれらを総合すれば…」となったとき、その意見の総合が意味するものは「レジェンドラダーの統計」と大差ないのではないでしょうか?

 


○使用率基準
個人的に一番可能性があるのはこれだと思います。
デッキは「使いたい」から使うのであって、ラダーにおいて使いたい理由はほとんどの場合「強いから」です。
多くの人がその時点で「強い」と感じるデッキがTier1である、というのは説得力があるように感じます。


しかし、これは勝率基準と同様に異時点間で分布が異なってくる欠点があります。また(検証はしていないが)デッキの要求魔素数と使用率には負の相関があるような気がします。
このため、使用率のみを以てTierを断定するのは適切ではないと思います。

 


○中心性
使用率に影響を受けにくいマッチアップごとの勝率から、中心性を求めればよいのでは…?(今パッと思いついただけでそれ以上のことは何も考えていない)

 

 

 

以上です。

*1:私もいくつか考案してはいますが、納得のいく成果にはつながっていません

環境予測:博士のメカメカ大作戦

新拡張が解禁されて2日経ちました。現段階での環境予測を公表します。

 

docs.google.com

 

 

●備考

・1シート目が予測のグラフ、2シート目が予測データ、3シート目が予測に用いた勝率と0期目の使用率です。

・グラフは横軸が時間、縦軸が使用率です。

・データはHSReplay.netが公開しているものを用いました。

HSReplay.net - Unleash your potential

・「全サーバー」の「レジェンドランク~ランク5」の「過去1日」のデータから、「マッチアップごとの勝率」と「デッキ別の人口割合」を用いて予測を行いました。

・データ不足により勝率が算出されていないマッチアップの勝率には、すべてのプレイヤーのデータによる勝率を適用し、それでも算出されない勝率は50%としました。

・予測モデルについては以前の記事を参照ください。

環境予測に関する説明 - ta9e2hs

 

 

 

●結果

この予測は言わば「機械的に対戦を続けた結果のシミュレーション」であり、現実とは大きく異なります。それでも、その結果から読み取れることは少なくないため、その解釈をします。

 

1.残るデッキ

現段階で60種類弱のデッキが存在しますが、多くの種類のデッキは使用率を伸ばすことができません。メタがどのように回ったとしてもある程度の使用率を確保できるであろうデッキは、以下になります。

ビッグドルイド、ミルドルイド、ズー、偶数ウォーロック、奇数ローグ、奇数パラディン、コントロールメイジ、奇数ウォリアー、クエストウォリアー、断末魔ハンター

 

その中でも、環境の中核を担う可能性が高いデッキは以下になります。

ビッグドルイド、奇数ローグ、ズー、断末魔ハンター、奇数パラディン

 

2.ダイナミクスに伴うメタの変遷

まず、ズーに対して勝率の高い奇数ローグや偶数ウォーロックが使用率を伸ばします。それに追従してコントロールメイジ、奇数パラディンの使用率も伸びます。

次に、これらのデッキが伸びた状況で強いビッグドルイドとミルドルイドの使用率が伸びます。第一段階で伸びたデッキの中で、奇数ローグは引き続き高い使用率となります。

その次の段階として、奇数ウォリアーや断末魔ハンターの使用率が上がります。この段階まで来ると、ズーの苦手も少なくなってくるためズーの使用率も増えることになります。

 

以上です。

 

●補足

環境初期のデータでは、どうしてもHSReplay側がデッキタイプの認識を誤るケースが多いです。そのため、数日待って安定したデータが出揃った後、改めて予測をやり直すかもしれません。

【振り返りコオオナアア】環境予測は環境を予測できたのだろうか

弊ブログでパッチ11.2適用の次の日に行った環境予測を振り返ります。

 

ta9e2hs.hatenablog.comta9e2hs.hatenablog.com

 

前提として

・中の人はプレイヤーとしては下の中である

ランク15になれなかった頃の私を下の下と定義した場合、今の私は下の中です。

・予測はあくまで客観的事実に基づいて行ったものである

結果のインプリケーションには主観的な表現が含まれてしまいますが、あくまで結果は客観的なものです。

・使用率目線で予測を行っている

「どのデッキが強いか」ではなく、「どのデッキが使われるか」に着目した予測です。強いデッキが使われるのは当然ですが、「強さ」を定義するのはとても困難です*1。「使われているか」は使用率を見ればいいだけなので、使用率に着目しています*2

ということを念頭に置いていただけるとありがたいです。

 

 

というわけで、言及した内容について見ていきます。「だいたいあってる」か「あんまりあってない」で評価します*3

※基本的にリトライの内容を振り返りますが、結果の変わらなかった予測に関してはリトライ前に言及することがあります。

 

 

1.残るデッキが多い

大抵の環境では、2~3種類のデッキがじゃんけんを繰り広げる結果になる場合が多いです。しかし現環境では、これまで以上に多様なデッキタイプがチャンスを持っていると言えます。

ヒールズーが増える前は使用率3%以上のデッキが10種類以上存在していたので、群雄割拠という予測はだいたいあってると思います。

 

2.偶数パラディンは弱い

弱いです。はい。

 弱かったので、この予測はだいたいあってると思います。

 

3.偶数シャーマンの一時的な流行

予測によると、偶数シャーマンは一時期増えたのち、減るという結果になりました。実際には完全消滅するとは考えにくいですが、Tier1にはならない、という解釈ができます。

 そもそもこれに言及したのは初回の予測で「偶シャマは増える」という結果が出たからです。実際に偶数シャーマンは使用率15位前後に位置していたので、この予測はだいたいあってると思います。

 

4.テンポメイジ、性悪ドルの脆弱性

これは前回の予測と同じ結果になりました。引き続き、これらのデッキは勝ち抜くのが難しくなると予測します。

テンポメイジの勝率はそこまで高くないものの一定数存在しました。ただ、予測を出した段階ではテンポメイジが使用率1位だったことを考えると、この予測はだいたいあってると思います。

 

5.プリーストデッキの伸び悩み

今回の予測では、コントロールプリーストだけでなく、クエストプリーストも伸び悩むという結果になりました。

 初回の予測では「コンプリは減るがクエプリは増える」という結果になったのでこのような表現がなされています。現環境でプリーストは非常に少ないので、この予測はだいたいあってると思います。

 

6.ローグデッキの明暗

ラクルローグは環境上~中位に一定数存在するという予測になります。また、奇数ローグも同様に環境に残り続けるという結果になりました。

一方で、今回の予測ではクエストローグは消滅しました。

 後述しますが、ズーが増えるまではミラクルローグ(+逃げ足テンポローグ)の使用率は非常に高く、奇数ローグの使用率は高いが今ほどではないという状況でした。当時は言及していませんでしたが、予測データの使用率の平均をとった場合ミラクル>奇数>>(越えられない壁)>>クエストという順番になります。この予測はだいたいあってると思います。

 

7.トークドルイドの台頭

前回の予測で「ドルイドに強いデッキがある可能性」を示唆しましたが、恐らくこれのことだと思います。現段階で上位のデッキの多くに有利なため、数を増やすと考えられます。

 「ドルイドに強いデッキがある可能性」は正解で、トークドルイドが強いというのも正解ですが、マリゴスドルイドはこの段階ではOther Druidとして処理されていました。

リトライではotherデッキを省いて予測していますが、otherデッキを含めて予測した場合Other Druidが増えるという結果になります(未発表の結果)。この"Other Druid"がマリドルの可能性が高いと思います。

なんにせよ、パッチ適用前にはほとんど存在しなかったトークドルイドが"Tier 1"と呼ばれるまでになったので、この予測はだいたいあってると思います。

 

8.偶数ウォーロックの流行

ドルイド同様ウォーロックにも強いデッキがある可能性を示唆しましたが、恐らくこれだと思います。偶数シャーマンや奇数パラディン等の初期に流行するデッキを餌に勝率を稼ぐ、という予測です。

偶数ウォロは増えましたね。初期に流行するデッキを餌に勝率を稼いだかどうかは微妙ですが、これは主観的な解釈が含まれる表現であり、私の考えが微妙だっただけで偶ウォロが増えるという結果自体は変わりません。この予測はだいたいあってると思います。

 

9.新・環境に食い込む可能性のあるデッキ

上で挙げた以外に、スペルハンター、コントロールウォリアー、マーロックパラディン、奇数パラディン、キューブロック、挑発ドルイドにはワンチャンスがあるという結果になりました。

さらに、ビッグスペルメイジ、招集ハンターも(上記のデッキには劣りますが)環境に食い込む可能性あり、という結果が出ました。

 スペルハンターはパッチ適用後すぐはとても多く、その後減ったもののある程度使われました。

ウォリコン(ウォリコンとあるが恐らくクエウォリのことを指している)は6月上旬に使用率が増え、その後落ち着きました。

マロパラは消えました。奇数パラディンはこの枠ではなく、「強いデッキ」として評価されるべき立ち位置になったと思います。

キューブロックはナーフ後も継続的に一定数の使用者が存在しました。

挑発ドルイドはズーの登場前に非常に高い使用率を出していたため、奇数パラディンと同じくこの枠で語るべきデッキではないと思います。

コンメ、招集ハンターに関しては、このあたかもTier3であるかのようなコメントに反して高い使用率を出しました。

総合的に見て、この予測はあんまりあってないと思います。

 

 

次に、「予測できなかった事実」に関していくつか触れ、どうして予測できなかったかについて軽く考察します。

 

①ズー(とエッグハンター)が増えた

これらのデッキタイプは、予測を行った段階ではほとんど存在すらしていないレベルでした。予測モデルは既存のデッキの勝率と使用率のみに着目するため、新しくデッキが出現するか、それが強いかを判断することはほぼ不可能である、と言って良いと思います。これはモデルの限界なので、どうしようもないです。

 

②シャダウォックシャーマンが非常に多い

これは本当によくわかりません。予測段階では即死するレベルの弱いデッキです。実データでも総合勝率は悪く、環境に多いデッキに対して極端に強いわけでもありません。

「難しいからデータ上の勝率が悪い」ということはよく言われますが、例えばランク1や2のみの戦績に絞って見た場合も、シャダウォックは勝率が低いにも関わらず使われています。これは「ランク1や2のプレイヤーはシャダウォックを使いこなせておらず勝率も低い。それにも関わらず使い続けている」ということの証左になってしまいます。

こういったデッキを数値から正しく評価するのは非常に難しいです。

 

※当たっているとは考えにくいですが「シャダウォック使いはシャダウォックしか使わない」みたいな仮説を立てた場合、勝率に依らず一定数のシャダウォック使いがいることの説明はできます。予測モデルは「勝率の低いデッキを使っている人は、勝率の高いデッキに変える」という仮定のもとで成り立っているので、この仮説が正しければモデルの前提が崩れているから結果がおかしいといえます。当たっているとは考えにくいですが。

 

③9番目の予測があんまりあってない

殆どの場合これは「モデルでは使用率が0%になるデッキにも、実際には数%の使用者が存在する」ことに起因しています。

予測は、プレイヤーが①「勝率の最大化」を目的に②「常に最善のプレイが可能」で③既存のデッキタイプのみを選択する という仮定の下で行っています。

実世界では、全員がそのような行動原理で動いているわけではありません。好きなデッキで勝ちたい、資産がない、ドルイドが嫌い、テックカード入れればええやんなど諸々の理由で、プレイヤーは仮定と異なるデッキの選択を行います。そのため、現実世界ではノイズが生じます。

モデルの上で「残ったデッキ」に対して強いだけのデッキの使用率が伸び悩む、「残ったデッキ」の中では不利だが、多くのデッキに対して強いデッキが使われる、といった理由から、モデル上の評価と実際の評価が食い違う場面が出るのは仕方ないと思います。

 

 

振り返りはこれで終わりです。

 

Boomsday環境も予測も行います。

パッチ適用後の予測は「だいたいあって」ましたが、既存のデッキがほとんどを占める状況と異なり、全く新しいデッキが大量に出現する新環境の予測はもっと精度が低くなると思います。

記事にはしていませんが、ウィッチウッドの時は環境から3日後くらいの予測が安定していたように感じるので、そのあたりに出せればと思います。

*1:強さの定義に関してああでもない、こうでもないという話を垂れ流す記事を書こうと思いましたが、未完です。いずれ書き上げるかもしれないし、書き上げないかもしれない

*2:「強い」「弱い」という表現を使うことがありますが、これは勢力として強い弱いという意味で、必ずしも勝率が高いということを意味するわけではありません

*3:どうしてこんなふざけた評価をするのかという理由ですが、予測結果を定量的に評価することが難しいからです。これに関しては私の努力不足です。いい方法があれば教えてください